適切なトレーニング時間とは?
少年サッカーにおいて、適切なトレーニングの時間とはどれぐらいでしょうか。
強いチームでは半日練習や1日練習をしまくっているところもよく見かけられます。
ゴールデンエイジの彼らにとってボールに触れる機会は何より大事…その気持ちもわかりますが、コーチに言われてやるトレーニングの時間が長ければ長いほど、失敗を恐る選手は増えていき、チャレンジする選手も相対的に減っていき、型に収まった選手が増えていくと私は考えています。
そこで、今回は、適切なトレーニングの時間についてのお話をしていきたいと思います。
トレーニングの時間は1〜1.5時間がベスト
私の経験上ですが、「強いチームは練習時間が長い。強くて練習時間が短いチームは選手の能力がもともと高い。」といった意見を多く聞きます。
見解ですがトレーニングの時間と強さは必ずしも比例しません。
むしろ専門性の低い昭和の日本のトレーニング論によるトレーニングが長ければ長いほど、日本のサッカーは弱体化していくと考えています。
❶インテンシティ(緊張感)が低い状態が身に付いてしまう

長い練習になると単純に疲労がたまります。そうなると選手の力も落ちてきます。
その状態でやる対人トレーニングに緊張感はあるのでしょうか?
試合と同様かそれ以上の緊張感でトレーニングをすることができるのでしょうか?
トーナメントの決勝で相手が死に物狂いでくるタックルを躱(かわ)す技術がそこで身につくのでしょうか?
また、そのようなインテンシティの練習が長く続くことで、その状態が普通になってしまい、試合中のスピードも落ちてしまいます。
❷怪我のリスクが高まる
低いインテンシティの中で行うと、身体的にも疲労がたまり、集中力が切れてきて、タックルが半歩遅れてしまい、ファールになってしまうことが多々あります。(経験談)
タックルにいく方も自分のイメージより遅くなり、そしてそれを受ける側もイメージよりも半歩遅い反応になってしまい、結果ぶつかってしまいます。
そうすると致命的な怪我を引き起こしかねません。
❸結局質の高い練習ができなくなる

そうすると、結局高いインテンシティでの練習ができなくなり、練習全体の質の低下にもつながります。
これが負のスパイラルでもあります。
チームが弱い。
↓
練習時間を長くする。
↓
インテンシティ低くなり、それが常態化する。
↓
怪我人増える
↓
弱体化
↓
余計に弱くなる
↓
上手い選手が他チームに移籍する
↓
チームが弱くなる…(続く)
といった流れです。もしかしたら経験したことがあるかもしれません。
❸家族の時間が無くなる

上にも少し触れましたが、トレーニングの時間が長くなればそれだけ拘束時間も増えます。
午後だけトレーニングと言われても実際に13時〜17時までの練習だと準備も含めると12〜18時ぐらいになてしまうことも多いでしょう。家に帰る時間となるともっと長くなるパターンもあります。
例えばこのような場合12時には家に帰っていなければいけない状態で、午前は何ができるでしょうか?家族で山登り、美術館、ゆっくりランチ、川遊び、泊りがけキャンプなど、できなくなってしまいますよね。
少年サッカー、ジュニアサッカーではサッカーが全てではありません。
大人になり、プロフェッショナルになれば、イチローのように24時間その専門競技の上達のことを考え、ファンを楽しませることに全てを注いでもいいでしょう。
しかし、重ねて言いますが、ジュニアサッカー、少年サッカーはサッカーだけをしていればいいのではありません。時にはバスケをやっている子とバスケをしたり、野球をしたり、鬼ごっこやかくれんぼ、色々な遊びをしておくことも子どもの成長にとって非常に重要です。
そして、それらの「心の隙間」はサッカーの成長にとって非常に重要なのです。
サッカーに全てを注いでいる選手とそのご家族の姿を見かけますが、サッカーに全てを注いでいると逃げ場がなくなり、何か思い詰まった時に逃げ隠れることができません。
そこで逃げて隠れられて少しサッカーから精神的に離れることができていればまた新鮮な気持ちにリセットされて戻ってくることもできますが、それがなければ家族もろとも崩れてしまいかねません。
だから、サッカーだけでなく、家族で遊んだり、友達と遊ぶ時間が重要なのです。
❹少年サッカーで最も育てたいものは実は「技術」ではない。
少年サッカー、ジュニアサッカーにおいて最も育てたいものは所謂「テクニック(技術)」ではありません。
え、ゴールデンエイジは神経系の発達が著しいからここで技術を伸ばすのがいいんじゃないの?という声も聞こえてきそうですが。それもそうなのですが、
ここ日本においては技術は優先順位第一位ではありません。
では何が一位なのか?
それは、「メンタル(精神力)」です。
もう少し詳しく言うと「闘う(何がなんでも勝とうとする)気持ち」
です。
日本の選手は技術が総じて高いです。
ジュニアサッカーの日本代表が世界大会で優秀な成績を残すことは稀ではありません。
しかし、ユース年代ぐらいから、徐々に差が見え始め、A代表になると、歴然とした差になって現れます。
それはつまり「闘う気持ち」だと私は結論づけています。
そして、特にその差はジュニア年代、小学生の年代から見え始めているのです。
だからこそ、長い時間でインテンシティの低い練習をするのではなく、短くともインテンシティが高く、白熱した練習を行わなければいけないのです。
じゃあ弱いチームは弱いまま?
質の高い練習をするためにトレーニングの時間を制限しなければいけないということですが、それでは確実に「Doの確保」、つまり絶対的にボールに触れている(サッカーをしている)時間の確保が困難になってきます。
じゃあ弱いチームは弱いままなのでしょうか?
2部練、3部練ならOK
先ほど述べた余暇の時間ということをしっかりとカバーできるのなら月に数回とか、2部練3部練をして、サッカーをする時間を増やすことは考えられます。
私の例でいうと
①6:30〜8:00朝練
②10:00〜11:30午前練
③14:00〜15:00座学
④16:30〜18:00午後練
といったメニューをこなしたこともあります。
合宿などのときもこういった感じのメニューになるかもしれません。
大事なのはrest(休憩)をしっかりとはさみ(昼寝などを挟んでも構いません)頭と体を休めることです。
基本的にrest中は自由行動ですが、あまりrestのタイミングで鬼ごっこなどをしてしまうと体の疲労がたまり、練習の質が下がってしまいますので、そこはコントロールすることをオススメします。
まとめ

トレーニングの時間をコントロールすれば、集中力、体力的に質の高い練習ができることは、確実です。
高い質を維持し、試合さながらの対人トレーニング、ゲームなどができれば自ずとチームは強くなっていきます。
今練習時間が長いチームがいきなり変わることは難しいでしょう。
私も制度だけでなく、意識の定着まで、3年ぐらいかかりました。
それで、現在は地域のトップレベルのチームに引き分けにまで持ち込みました。
野球文化の日本において、なかなか難しいのが現状でしょうが、これからの日本おサッカーのためにも、子どものためにも、トレーニングの時間と余暇の時間はとても大切になってくるかと思います(ストレス社会な)ので、ぜひ実践してみてください。
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